【相談内容】
管理費等の金額が管理規約に載っている場合、金額の変更は管理規約の改定?

 
 

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●管理規約の改定は4分の3以上の賛成が必要
●管理費変更が「規約改定」にあたらない可能性あり
●その場合、過半数の賛成で足りる
 

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【相談者】レオシティ705号 理事(浪人生)S原さん
    
OEKAKI17


【回答者】マンション管理士 テミス先生


OEKAKI11



〜受験シーズンも佳境を迎えたある日、浪人生のS原さんが『マンション管理組合の学校』に訪れた〜



「マンション管理士試験を9,999回受けて、未だ合格できない浪人生です。」

 

 

「はい。どうしました?(そんなに試験やってないよ。冷やかし?)」

 

 

「・・・ウチの管理組合。先日、管理費の値上げをしたんですよ。」

 

 

「増額に不満なので支払いたくない! でしょ?? もー、ダメよそんなの。ちゃんと払わなくちゃね、いい大人なんだから。ルールは守ろうね♪はい、次の人どーぞー。」

 

 

「いや、そうではなくて。」

 

 

「え? じゃあ何?(次の人、呼んじゃったじゃないのよ)」

 

 

「管理費の値上げは総会で承認されたんですけど、ある組合員から『過半数の賛成ではダメだ! 3/4以上の賛成がなければ値上げはできない。この決議は無効だ! みなさん、こんなものに従う必要はないですよ!』などと大声を出されまして。」

 

 

「あらら。」

 

 

「私としては、決議は有効だと思っているんですけど、組合員のみなさんにどう説明をして良いのか。」

 

 

「なるほど。思っていた以上に重い話だったのね。色々と確認してみましょう。それじゃ、管理規約を見せて。」

 

 

「・・・忘れました。」

 

 

「手ぶらかよっ!? あ、手土産を持って来いっていう意味じゃないわよ。(でも、次は焼酎持って来なさいね)」

 

 

「スミマセン・・・でも! ウチの管理規約は『標準管理規約』とほぼ同じなので、『標準〜』でなんとか教えてもらえないでしょうか。」

 

 

「さすが、マンション管理士試験の浪人生。良く解っている!標準管理規約に準拠している管理組合は少なくないから、他の管理組合でも参考になるわね。(これはイヤミよ、この手ぶら野郎!)・・で、今回の問題に関して『標準〜』と違うところはない?」

 

 

「えっと・・・附則に『管理費等の金額は、総会でそれが決定されるまでは別表Xに掲げるとおりとする。』とあって、その別表Xには、各住戸の管理費等の額が記載されています・・・

 
・・・あ“ぁっ!!!


 
あの人が大声で言っていたのはこれのことか!!!」

 

 

「どうしたの?」

 

 

「各住戸の管理費等の額が、管理規約(別表X)に記載されています!ということは『管理費等の額を変更すること=管理規約の変更』。つまり、3/4以上の賛成が必要なんだ!あ“〜っ、あの人は正しかったんだぁ〜っ!!!」

 

 

「ちょっと、落ち着いて!勉強しているとはいえ、法律とか管理規約とか判例とか、まだまだ解ってないのね・・・

 
教えて、あ・げ・る・♪


 
さぁ、ここからは真面目モードよ! ついてきなさい!」

 

 

「(なんなんだ、この人???)はい。え、あの・・・、お願いします。」

 

 

「標準管理規約は第25条で、区分所有者に対して、管理費と修繕積立金の納入義務を定めているね。そして、それらの金額については、アナタの管理規約では『総会で決定されるまでは、別表Xに掲げるとおりとする。』とされている。」

 

 

「そうです。」

 

 

「次に第48条。ここには、総会に諮らなければイケない事項、すなわち総会の議決事項に関する規定があるよね。第三号と第四号になんと書いてある? 」

 

 

「三号は、管理費等の額。四号は、管理規約等の変更。ざっくりと、そんなことが書かれています。」

 

 

「では次。総会に諮らなければイケないとされた『管理費等の額』と『管理規約等の変更』の議決要件について、第47条は何と定めている?」

 

 

「管理規約『等』ではなく『規約』の変更については、3/4以上とされています。しかし、『管理費等の額』については、別個の記載がないので過半数ですね。」

 

 

「浪人生、良くできたじゃない。」

 

 

「(上から目線かよ)しかし、これが何か?」

 

 

「解らない? ならば最後、ホントに真面目にイクよ! 管理規約は『それ自身の変更』と『管理費等の額』、いずれも総会の決議を必要とするとしているけど、それぞれについて異なる議決要件を定めているよね。そう、3/4以上と過半数。仮に、『管理費等の額(の設定)』が『管理規約の改定』に該当するのであれば、異なる議決要件を定める必要はなくて『管理規約の改定』に含まれるとすれば良いことじゃない?」

 

 

「そうですねぇ・・・」

 

 

「それにも関わらず、このように別個の規定があるということは?」

 

 

「・・・『管理費等の額(の設定)』は『管理規約の改定』ではない?」

 

 

「そう!!さらに、今回の事例では『管理費等の額』は総会での過半数の賛成で決まる、と管理規約が定めている中で、その決定がなされるまでの間は、管理規約の別表Xに記載された金額でとりあえずいきますよ、という意味合いであって、管理規約として金額を定めたものではないと考えられるの。

つまり、今回の事例における管理費等の値上げは、管理規約の変更にはあたらないので、総会の過半数の賛成で足りる!」

 

 

「管理規約に金額が書かれていても、金額の変更が必ずしも管理規約の変更ではない場合がある、ということですね。・・・難しい・・・ありがとうございました。」

 

 

(この子、今年も試験落ちそう)

  

 

【ご了承願います】

この記事は「できるだけ解り易く」という観点で作成しています。正確性には留意していますが、厳密性を欠いている表現が含まれている場合があることをご了承願います。

 

【参考】

・平成14年11月5日 神戸地方裁判所