元大手管理会社取締役_ブログ
【ある「元」大手管理会社取締役のつぶやき】

−消費者を保護する法律は時に消費者を困らせる−


マンション管理適正化法が施行され、消費者に対する管理会社の説明責任、管理費等の保証、管理費等金銭の取り扱いなどが明確になりました。

悪質な会社は処罰され、国土交通省のネガティブ情報の開示によって制裁を受けています。
消費者を保護する様々な取り組みは評価されるものでしょう。

しかしながら、制度は時として無駄を生み、消費者にコストとなって跳ねかえって来ます。
以下事例を挙げて検討してみましょう。



1.法定業務で書類が増える

重要事項説明書や契約締結後の書面の作成、管理業務主任者による説明、交付に要する人件費と印刷製本コストは大変なものです。
分厚い説明資料の交付は資源の無駄でもあります。

「とはいえ、どうせ管理会社が負担しているから関係ない。」
などと考えてはいけません。一連の法定義務をコストに換算すれば大変な金額ですが、これは当然に皆さんの管理委託料に上乗せされているのです。

管理委託契約を「基幹事務の契約」(会計、出納、維持修繕の調停)と、「その他の管理契約」(管理員、清掃、設備管理等)に分離して、基幹事務だけをマンション管理適正化法に基づく契約として締結するといった工夫をしたら良いのではないかと思います。

仕様変更等で契約内容が変更になる、そのほとんどは「その他の管理契約」であり、こちらの内容が変更になったとしても、その都度重要事項説明書の作成と説明会の開催、契約締結後の書面の交付は必要はないと思います。
総会の中で変更内容の説明を行って承認を得れば十分です。

契約期間を3年から5年といった長期契約に変更するのも有効です。
「長期間契約の解除ができないと困る。」といった心配は無用です。契約の解除に当たっては相当期間(例えば3カ月前)の予告をもって可能であるとの取り決めを行っておけばよいのです。

管理組合からのこういった申し出により低減される管理会社のコストは、当然に委託料の値引きで反映してもらうことを忘れてはいけません。



2.自動更新契約だと毎年印紙代は要らなかったのに

マンション管理適正化法以前の契約の多くには、
「管理会社、管理組合の双方より特段の異議がない場合、本契約は従前の条件をもって一年間更新され、更新された契約についても同様とする。」
といった、自動更新条項が盛り込まれておりました。

現在は、管理委託契約の更新にあたっては、あらかじめ重要事項説明を行い、契約締結後に書面(契約書)を交付することとなっています。

契約書には契約金額に応じた収入印紙の貼付が必要です。
そこで、毎年収入印紙を双方が負担する愚を避けるため、契約書正本を一通作成することし、契約当事者の一方はその写しを保管することとしてはどうでしょう。
契約に要する費用は管理会社が負担すると取り決めれば、管理組合の支出はありません。

1.で述べた基幹事務の契約とその他の管理契約に分けた場合、基幹事務の契約については委任契約につき収入印紙は不要と判断されると思います。その他の管理契約は一年契約とし(長期契約だと月額ではなくその期間分の総額に対して印紙税が課税されます。)先に述べた随時の解約条項と自動更新条項を盛り込んでおけば問題ありません。

最近ではインターネットを使って、収入印紙が不要となる電子契約の制度が整っています。管理会社に電子契約システムを導入するよう要請するのもよいでしょう。

菅 理(すが さとし)
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