新人マンション管理士_ブログ
ーマンション管理組合の収益向上に何か良い施策はないか?修繕積立金不足の対策の一助として(その2)―

マンション管理士 新人のメル夫です。4月からマンション管理士事務所「メルすみごこち事務所」で研修中です。
いろいろなマンション管理組合の理事会や総会等へ訪問させていただき、その活動を通して得られた「気づき」をリポートさせて頂きます。まだまだ文章が拙いかもしれませんが、どうぞ宜しくお願いします。


収益向上アンケートは通常総会議案書に同封し、かつ収支改善を管理組合の継続テーマとして明確化したところ、回答数は総数75のうち54(回答率72%)と上々でした。


【収益向上アンケート結果を踏まえて検討の結果、6案を選択】

 回答者の賛成の概ね75%(40以上)の「賛成」「検討を任せる」を得た案件を中心に、15項目について一つずつ討議が行われました。

 そして賛成等の多い順に並べたところ、以下の6項目が対象となりました。
 ( )内は賛成等、及び回答者に占める比率です。


1位 屋上に携帯電話の中継基地局を設置する。
  (屋上使用料収入)(48人、89%)

2位 屋上に太陽光パネルを取り付ける。
  (売電収入)(43人、80%)
 
3位 飲料水の自動販売機を設置する。
  (販売手数料収入)(40人、74%)

4位 共用部分の空いたスペースにトランクルームを設置する。
   (使用料収入)(39人、72%)

5位 エントランスホールの有効活用を検討する。
  (区画で区切って共用ルームにし希望者から利用料徴収)(34人、63%)

6位 屋上に広告塔を立てる。
  (看板収入)(34人、63%)



【検討する又は具体的に推進するための条件は?】

この結果をもとに、今後の対策を討議の結果、

1位、2位の案 ⇒「検討する」
3位〜6位までの案 ⇒「具体的に推進する」

ことになりました。


※1位の携帯電話の中継基地局は、検討することになりました。

※2位の太陽光パネルは、行政からの補助金が一時期に比べてかなり減ってしまった(なくなってしまった)のと、売電単価が低下しているとのマイナス要因がありましたが、検討することになりました。

※3位の自動販売機は、近隣の需要も取り込むべく敷地入口近辺への設置を考慮し、かつ利益が出るならば推進することになりました。

※4位のトランクルームは、業者に複数箇所の設置提案をしてもらい、具体的に推進することになりました。

※5位のエントランスホールの有効活用は、具体案を作り、意見交換会を開くことになりました。

※6位の広告塔は、広告主が見つかるかと、設備投資(看板の骨組みや屋上防水)が必要ですが、広告代理店に聞いてみることになりました。



【除外した案件の理由は論理的に−「費用対効果」と「需要不足」】

 なお、集計の結果、「賛成等」の数は多いが、理事会で検討した結果「見合わせ」としたものがありました。
 これらのものは、賛成された方の気持ちを考えて、その理由を明確にしておくことが大切です。


例えば、

・共用廊下の電灯の人感センサー化(42人、78%)
【見合わせ理由】
費用対効果を考えると具体化は難しいことと、人が通行しない時間は廊下が真っ暗になるため、夜中の時間帯は外から見て真っ暗になり、却って悪い噂が立つ可能性がある。


・使用しない駐車場を管理組合が借り上げ外部貸し(38人、70%)
【見合わせ理由】
対象となる区画(区分所有者が車両を持っておらず使用されていない)は10台分あるが、当マンションは外部者への貸し出しがルールで認められているものの周辺にも空き駐車場が多く埋まらない可能性が高く、サブリースで管理組合が借り受けると却ってマイナスになってしまう可能性がある。


などです。


【重要な選定に際して重要なこと−全員に浸透させること、全員の声が反映されること、あくまで論理的な選定であること、が大切】

 このようにして、15項目の「アイデア」から、6個の具体的な「推進案件」を選定することができました。
 今後各々具体的な検討を進め、進捗状況は回覧板形式にて報告することになりました。

 今回のような、収益向上に向けての施策を決めるなど、組合員全員に関係する重要な選定に際しては、

(1)管理組合組合全体に係る重要課題であることを全員に浸透させること
(2)組合員全員の声が反映された案件選定のプロセスであること
(3)あくまで論理的な選定をすること

が大切であることを勉強させていただきました。

(終わり)