元大手管理会社取締役_ブログ
 【ある「元」大手管理会社取締役つぶやき その22】地震で被害が無くても保険金がもらえる?


地震保険に加入する管理組合は東日本大震災以来急増し、昨年の熊本の震災でも相当な管理組合が地震による被害認定を受けて、保険料を受け取ったことと思います。

地震保険は火災保険の付保額の半額までしか加入できないにも係わらず、掛け金は火災保険に比べると半大変割高です。建物が「全損」の場合は「地震保険金額の全額」が、「大損」の場合はその「60%」が、「小半損」の場合にはその「30%」がそれぞれ支払われます。


ところで、タイトル通り「被害がなくても保険金がもらえた」のなら犯罪行為か怪しい話ですが、そうではありません。
一見被害がないように見えるけれど、専門家の目から建物を調査し、柱や梁に生じたクラックを詳細に検討した結果、「一部損」と認められれば、「地震保険金額の5%」が支払われるケースがあるのです。
この一部損を認定させる、専門コンサルタント会社が存在します。

一部損とみなされるのは軸組み(柱、梁等の構造部分)、基礎、屋根、外壁等の時価額で3%以上の損傷があった場合です。
保険金の申請をすると保険会社は鑑定人を派遣して被害状況を確認します。その際、事前にコンサルタント会社は独自の調査を行い、管理組合理事長から委任を受けて、鑑定人の調査に立ち会います。そして損傷が認められる箇所を鑑定人に指摘し、一部損が認定されるよう働きかけます。

この会社は、事前調査を行い鑑定人の現地調査に立ち会っても、保険金が下りなければ、一切の報酬が発生しません。保険金が下りれば、受け取った保険金の30%を報酬としてに支払うシステムです。

彼らは調査と立ち合い折衝に明け暮れており、マンション管理組合への営業活動はほとんどしません。マンションの管理会社や不動産賃貸管理会社等を代理店として、調査対象先を紹介してもらっては成果を上げています。

100世帯のマンションで、7億円の地震保険に加入している場合、一部損が認定されると5%の3,500万円を管理組合は受け取ることとなります。
その中から1,050万円を報酬としてコンサルタント会社に支払います。代理店報酬もその中に含まれます。

賠償責任保険のように、原状回復のための見積もりを提出して、保険会社がそれを査定し、査定に応じた損害認定額を保険金として受領するのではありません。一部損が認定されれば、地震保険額の5%が必ず満額支払われます。クラック程度の被害であれば、被害箇所は当面そのままにして、次回の大規模修繕時にまとめて修繕しても構いません。

驚くことに、本来は地震発生から3年で打ち切られるはずの地震保険の事故報告を、東日本大震災の震災に関しては未だ継続している保険会社がほとんどです。現在でも東日本大震災の被害として新たな一部損の認定が引き続き認められているのが現状です。

ある大手マンション管理会社では、東日本大震災の被害に関して保険会社にすべて事故報告を済ませていましたが、昨年末から、地震発生当時一部損が認められなかった関東以北(神奈川を含む)のマンションに対して、一斉に地震保険コンサルタントによる再調査を行い、多くのマンションで成果を上げて驚いています。


マンション管理組合のなかには、マンションの保険を保険代理店である管理会社に任せていたのに、なぜその時は保険が下りなかったのかと指摘もありました。

ご不満はごもっともですが、保険代理店は保険の見積もりを作成し、正しい商品説明を行い、保険を募集・成約するための保険会社の代理店です。事故が起こった場合に、管理組合が行う保険金請求の手続きは手伝ってくれますが、地震の被害調査や保険会社と保険金を受領するための交渉をする立場ではありません。

この保険金は地震保険加入期間に複数回の地震に見舞われた場合でも、その都度請求可能です。保険金を受け取ったからと言って次回から地震保険料が値上がりすることもありません。外観上目立った地震被害がないあなたのマンションも、意外に大きな保険金が認められるかもしれません。


今回のコラムで取り上げた内容については株式会社CITV光(03-3255-0171)のご協力をいただきました。


菅 理(すが さとし)

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元大手管理会社取締役つぶやき 

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