近年、分譲マンションの大規模修繕工事に係る、不適切コンサルタント問題が経済誌や新聞紙上をにぎわわせています。国土交通省も問題を重要視し、平成29年1月27日には「設計コンサルタントを活用したマンション大規模修繕工事の発注等の相談窓口の周知について(通知)」の中で、具体的な不適切なコンサルタントの具体的事例を複数挙げて業界団体に向けて警鐘を鳴らしています。
 

修繕コンサルタントの業界もこの問題が根深い(みんなやっていること)だけに、死活問題ととらえて様々な動きが出ているようです。
先日あるマンションの理事長が、「週刊誌で読みましたが、マンションの修繕コンサルタントの業界も新たな団体を設立し、不適切なコンサルタントを排除する動きが出てきましたね。」とおっしゃいました。

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私はその記事を見ていなかったので、取り寄せて読んでみました。スクープ合戦で名を馳せた大手文芸出版会社の週刊誌です。
くだんの理事長がおっしゃった記事は全6ページの特集です。


前半の2ページは業界の主だった企業が二十数社結集し、コンサルタントの協会が発足した事を報じ、「マンションの資産価値を左右する大規模修繕工事請負人の挑戦」と題して、その協会が「透明で明確な業務契約が遂行されるよう徹底指導」などと書かれています。


後半の4ページはその協会の会員企業の重鎮4名が対談を行っています。
週刊誌がこれほど特定の団体に肩入れする記事を書くものなのかな?との疑問はすぐに解けました。記事だと思っていた6ページはすべて広告だったのです。ページの上に小さく(PR)とあります。業者がお金を払って自分たちが作ったPRや対談を記事風に乗せるのを記事広告というそうです。


いかにも大手週刊誌の特集記事のように装っているところがミソです。先の理事長が週刊誌の記事だと誤認したのもうなずけます。調べてみると1ページあたりの掲載料は65万円。6ページだと400万円近い金額ですね。
業界はここまで追い込まれているのかと、今回の不適切コンサル問題の影響の大きさを再認識した次第です。
 

管理組合からのコンサルタントの要請を安値で引き受けて、その実、修繕工事の積算や仕様書作成は出入りの工事業者に作業を押し付ける。
業者の選定にあたっては、話合いの成立するメンバーだけを指名して談合させる。
予定通り最安値(といっても相場の何割か割高の金額です)で受注した先の出入り工事業者はコンサルタントに高額な謝礼をキックバックする。
これが不適切コンサルです。


「管理組合の為に、専門的な立場で、適正な工事発注と工事監理を行う。」と言いながら、その実、裏では「自社の最大の利益のために、工事業者に業務を丸投げし、その費用を払うどころか逆に高額のリベートを要求する。」のです。


団体を新たに結成して、「透明で明確な業務契約が遂行されるよう徹底指導する」というからには、メンバーの中には今まで不適切な業務契約を遂行するコンサルがいたのだと自認しているのでしょうかね?


___皆さん、この団体のメンバーにお願いすれば本当に大丈夫なのか心配になりませんか?


そもそも組合員を欺くような行為を排除し、適切な業務契約を遂行する気持ちがあるなら、大金を払って、読者を欺くような記事に見立てた広告などする必要があるのでしょうか。これは企業の品格の問題と言えます。不適切コンサルと指弾されるような消費者を裏切る行為は、企業の品格の無さが起因しているのではないでしょうか。
 

同じ建設業界で、鹿島、大成建設、清水建設、大林組の大手スーパーゼネコン4社は、2005年末に「談合決別宣言」を出しました。
まだ彼らは、当時の自身の談合体質を正直に認め、それを改めると宣言した分だけ、今回の怪しい記事より真摯に取り組む姿勢を示したと思います。それでもその後、談合は改まることなく継続されているのはご承知の通りです。例を挙げればきりがありませんが、最近ではリニア中央新幹線に関連した談合で、大手ゼネコン幹部から逮捕者まで出る始末です。


「これまでは悪いことをしていたけど今度からはきちんとします。」(大手ゼネコン)

「これまで(そんなに)悪いことはしてないけど(世間が騒がしいから)今後は絶対にきちんとします。」(今回の記事広告)


__なんだか小学生の反省文ですね。
社内を引き締め、カルチャーと品位を高めることに心砕くより、対外的アピールに費用をかける企業の価値観を、消費者である管理組合はどう評価するでしょう。本件は期待しつつも、真偽のほどを見極めるべく、見守ってゆこうと思います。


こんな中、大手修繕工事専門業者の中に、設計コンサルタント企業との癒着を清算する動きが出てきました。
従来締結していた設計コンサルタント企業との業務提携契約(設計コンサルタントからの情報提供で工事を受注した場合、一定のリベートを差し出すこと)を一斉に解除すると言い出したのです。
泡沫企業がこの行動に出たのであれば、業界を挙げて村八分にすればいいのですが、業界トップクラスの会社のクリーン宣言ですから影響は甚大です。

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今後この会社が大規模修繕工事の見積もりに加われば、どんなに他社が不適切コンサルと組んで談合していても、ガチンコ勝負になりそうです。
管理組合には光明が見えてきたのかもしれません。
こちらは本気で期待したいと思います。
 

菅 理(すが さとし)

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ある「元」大手管理会社取締役のつぶやき

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